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緒言
乳児の咽頭扁桃腺が何れの時期に発現するか,又其の生理的意義が何であるかは今日未だ闡明されていない樣であるが,之が極めて早期に肥大し種々の障碍を惹起することは多数の臨床例の示すところである.乳児に於ては咽頭扁桃腺が肥大することは稀な樣に思われているが実際には案外多いのではあるまいかとも考えられる.アデノイドのため鼻呼吸が障碍され哺乳困難.睡眠障碍のため延いては栄養の低下を来す事は予想外に多い樣である.更にアデノイドが乳幼児中耳炎の原因となる場合が可成り多いと考えられるので,かかる乳幼児に於てアデノトミーを敢行して見たのである.
近時化学療法の躍進的進歩により中耳炎の治療に著しい効果を収めているが,それにも拘らず乳幼児中耳炎にて再三再四反覆招来し処置に困惑する例が尠くない.かかる場合の原因的因子としては種々あると思われるが,詳細なる検査を行う場合にはアデノイドを証明することも存外多いものである.従来乳児の鼻閉,鼻漏に対するアデノトミーの治験の報告例は可なりあるが,余は専ら中耳炎に対する効果について調査した.余等の病院の性格上患児に於ける術前術後の経過を詳細に観察するのに惠まれているので昭和22年10月より25年10月に至る3年間にアデノトミーを行つた2歳未満の乳幼児35例を調査の対象となし,中耳炎に対する効果並に体重の変遷をも併せ考察した.
WATANABE says that when infants are highly vulnerable to recurrent attacks of otitis madia exa-mination will often reveal an incredible large num-ber of patients affected with adenoid growths to account for the cause of the otitis. His results with cures by adenoidectomy in 35 such cases in whomthe otitis was either recurrent or diffic of cure seems to justify this claim.
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