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側頸部を基始とせる先天性正中頸部嚢腫例—先天性正中頸部腮嚢腫(Cystoma colli mediana visceralis congenita)
執行 孝胤
1
1大阪大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.359-361
発行日 1949年9月20日
Published Date 1949/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200237
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Ⅰ緒言
先天性頸部嚢腫は頸部の胎生的発育障碍に因する其部の胎生的残貼を基始として発するもので,其の発生部位により頸部正中線に來るものを正中頸嚢腫,頸部側面に來るものを側頸嚢腫と区別され,両者は全くその成因を異にするもので前者は甲状舌管又は舌索により説明されるが。後者は胎生的第二腮裂の閉鎮不全に因るもので,原則としては咽頭腔に完通するものであるが,單に頸部側面又は咽頭腔のみに開口を有するものも珍らしくない.
所謂先天性頸部瘻或は嚢腫に就いてはHunckzowski(1789)及びDsondi(1829)により初めて2例が報告せられてから数10例を算して居るが余は最近正中線に生じた腫脹を主訴とし手術により側頸部を基始とした先天性正中頸部嚢腫の1例に遭遇したので茲にその概略を述べ諸賢の御批判を乞う次第である.
Shugyo finds the origin of branchiogenic cyst in a female infant, 1 year and 10 months of age, at the side of neck, and, proposes the term, Cystoma Colli Mediani Visceralis Congenita, for such misplaced anlage.
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