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喉頭結核の頸動脈注射療法
富井 日出丸
1
1京都府立醫科大學耳鼻咽喉科教室
pp.243-244
発行日 1949年6月20日
Published Date 1949/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200190
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緒論
喉頭結核の治療に沃度劑を用ふるは可成り古くより行われたるも,殊にパンネンスチール療法の發見以來純ヨードの作用顯著なるを認められ,漸次その投與方法も考案せられて治療効果の著明なるものとして一時臨床上盛んに用いられたるものなり.沃度ナトリウムを喉頭結核治療の目的で血管内に注入する事は既に菅井考案のパンネンスチール療法に行われ,靜脈内に可成大量を用うる事が推稱せらるゝも,沃度ナトリウムを頸動脈内に注入するは脳動脈造影に際し行われ,屡々顯著なる副作用を來す事が注意せられおるものなり.又先に高張葡萄糖の動脈内急速注入に依る衝撃作用に依りて,炎症部位の疼痛に即時的鎭痛作用の著明なるを報告せられ,耳鼻咽喉科領域に於ても喉頭結核の局所疼痛,及び不快なる嚥下痛に對し衝撃療法を試み,良好なる成績を得られおる處より余も又之の沃度劑の結核病巣に對する直接作用と衝撃作用に依る即時効果を得る目的で本療法を施行せり.
Thirty cases of laryngeal tuberculosis were treated by intra-arterial injection therapy; sodium iodide being injected parenterally into the com-mon carotid artery. Results were negative. The-re were also no untold side-effects.
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