Japanese
English
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先天性聾兒の問題に就て
Problem of congenital Deaf child
マツクフハレン
Douglas Macfarlan
pp.84-86
発行日 1949年2月20日
Published Date 1949/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200140
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不幸にも生れ乍らにして難聽者であり,又は聾者である子供は現在と將來とを問わず生れて來る.なお生れてから滿2歳になるまでに全くの聾者となる者も少くない.之等の兒童はいづれにしても言葉が覺えられないばかりでなく,話が出來る樣になるには困難である.現在聾唖學校で收容されている兒童は17.000乃至20.000人に達しているが,學校に入學させるには滿6歳を過ぎて,いわゆる幼兒時代の世話のやける時を過ぎた者でなければならぬ.
けれど今日直面する難問題は即ちその幼兒時代であつて,滿2歳から6歳になるまでのことである.この時代をどう取扱うべきかについては何等の方針も定められていない.而しこの時代を無爲に過させることは,最も貴重な時期を失うことになつて,多少の殘存聽力があつても,そのまゝに放棄されることになり,惡い習性又は偏した心理的偏差が芽生えてきて,聾性の注意力散漫の根底を根強くさせることになる.これに對する豫防法をこゝで論じたいのであるが,その豫防法はない.而し純粹の遺傳性といえる聾者の數は全體の25%にすぎないという數字は驚くべき事實である.又聾の原因が出産時の障礎ではないことも大體わかつた.最近の研究は聾であることがあり,それが母體の疾患の輕重によらないものであることもわかつた.出産の時にキニーネを使用すれば生産兒が聾になることもある.幼兒時代に高熱症にかゝれば,聽神經或は蝸牛殼に障害を起して,聾になることもある.
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