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耳症候と不正咬合に就て
北川 和男
1
1慶應義塾大學醫學部耳鼻咽喉科教室
pp.87-93
発行日 1949年2月20日
Published Date 1949/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200141
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1.まえがき
耳鼻咽喉科疾患と齒科疾患とはきわめて密接な關係がある.例えば齒性上顎洞炎や齒性腫瘍はすでに幾度か學界で論ぜられてきた.しかし耳鼻咽喉科領域の中で,耳症候が齒科疾患によつて起ることや,齒科疾患を治療すると耳症候がなおることは余り注意されてゐない.最近のアメリカの文献を讀むと,アメリカでは最近5年間にこの分野の研究が非常にすゝんで,ほゞ同一の體系が出來上つたようである.この研究の中心になつてゐるのは齒科醫であつて,GoodfriendやCostenの名が知られてゐる.この研究體系が出來るまでには齒科,耳鼻咽喉科,神經科等の緊密な共同研究が必要であつた.彼等はよくこれをやりとげたし.最近ではこの研究が航空醫學にも應用されてゐる.
この研究が始められたのは2930年でまずMonson・Wrightが難聽をなおすには不正咬合を矯正することが必要であると主張した.その後Kirk・Cryerは齒の不正咬合によつて,下顎關節の髁状突起(Condyle,Condylŭs)が鼓室前壁に衝突し,その結果いろいろの耳症候が起ることを明らかにした.
The author calls attention to the relation of malocclusion of dental bite to aural symptoms with reference to recent development and literature on the subjcet.
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