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幼兒腎結核に就て
楢原 憲章
1
,
神原 愼雄
2
,
原口 利恭
3
1熊本醫科大
2熊本醫科大皮膚科泌尿器科教室
3熊本醫科大小兒科教室
pp.174-178
発行日 1951年4月1日
Published Date 1951/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200494
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所謂慢性腎結核は成人に比して小兒,殊に幼兒に於ては極めて稀有とされる。岩下・山田は北海道大學に於ける腎結核1092例中15歳以下26例(2.4%),10歳未滿は3例(0.27%)で5歳未滿は1例も無く,文献にみられた最年少例はBa. rdenhauerの生後3カ月例で,本邦では里見の1年8カ月であろうと言い,Vignard-Thévenot (1912)は文献から蒐集した38例の小兒腎結核中3歳未滿4例,3—6歳8例,6—11歳9例,12-17歳17例を數え,Falciは18歳未滿の50例中6歳未滿2例,7—12歳8例,13—18歳40例で男女略々同數であつたと言う。高森(昭和22年)は九大泌尿器科に於て昭和15年より20年に至る5カ年間に小兒腎結核44例を數え,最低年齡は5歳,腎剔を行つた例は11歳が最年少であつたと述べており,小兒腎結核は幼少になる程其の數も減ずるの傾向がみられ,殊に5歳以下にして患腎を摘出せる例は寥々たるものである。
我々は最近,3歳6カ月目に尿中に結核菌を證明,4歳1カ月目に患腎を摘出,治癒せしめ得た1例に遭遇したから茲に報告する。
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