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緒言
所謂齒槽膿漏症は成人を侵す疾患にして,20歳殊に15歳以下に之を見る事は極めて稀とされている.我々が此處に報告するものは,同一家系に於て同胞6名中4名迄が,相踵いで3歳乃至10歳迄の間に所謂齒槽膿漏症類似の症状を現して來たものである.其臨牀症状に於て特に注意を惹く事は,定型的齒槽膿漏症よりも症状が一般に激烈にして.即ち先づ散發的の齒槽膿漏症の形で發病し,次に漸次齒齦及び齒槽骨を崩壞吸收し,患齒の弛緩動搖を來し,齒牙の自然脱落を來すか又は抜齒を餘儀なくされる.幸に此程度で治癒する事もあるが,往々所謂齒性顎炎を續發し,全ゆる治療も効無く,徐々なれど進行性に周圍組織を崩壞し.病勢停止する處を知らず,遂には重篤な全身障碍を惹起せしむるに至る點である.更に今一つ極めて興味深く感ずる事は,此等4名の罹患兒に於ては共通して,其血液に「オキシフル」を添加すると瞬時にして黒變し,且其際氣泡を發生しない點であつて.―之は後に述べる如く血液「カタラーゼ」酵素缺乏の爲である事を實證し得たが,―此等の4症例に見られた特異な臨牀症状と其血液の異常との間には,何等かの關係があるものと思へる點である.我々が此等の症例に非常な興味を抱き,聊かなりとも研究を進めるに至つた動機は第1圖に示す家系圖に於て●印の4名が罹患兒であるが,其内第Ⅱ子を最初に診察する機會を得たに始まる.尚ほ此第Ⅱ子は他の3名の罹患兒の症状を最も良く代表してゐるので,以下主に第Ⅱ子に就いて其臨牀症状を述べる事とする.
Authors reported 4. cases of necrotic Gingivitis, which progressed to ostitis and destructipn of bone-blood catalase was absent in all four cases, who were brothers and sisters of the same family It was interesting to note that the parents of these children were of blood marriage by being a cousin and a half.
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