總説
氣象及び季節變動が眼疾患に及ぼす影響に就て
萩野 鉚太郞
1
1名大環研
pp.417-423
発行日 1951年7月15日
Published Date 1951/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200888
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緒論
氣象並に季節の變動に對する生體の生理的反應或は之と各種疾患の消長との關係に就ては,近來漸く一般に注意を引くようになって來た。殊に生理的反應に關する基礎的研究或は内科,小兒科,耳鼻咽喉科方面の臨牀的研究には相當見るべきものがある。眼疾患との交渉に就ては本邦では早くから伊東教授等によつて注意されて來たが,まだ一般には關心が薄い樣に思われる。de RudderとかPetersen等の廣汎尨大な研究にも拘わらず眼疾患に就ての研究は甚だ少い。Petersen(1)の大著"The patient and the weather"の中では緑内障と虹彩炎に就て僅に10頁餘を費しているのみである。近頃宇山教授(2)は全身と眼との關係の密接なことを次の樣に強調している。全身諸臓器の病變は眼によつて遠くから且つ早期に捕捉出來る。之は眼と全身の連絡が極めて親密であることが主因であるが,一方眼の感受性が高度に發達しておつて僅かな病變の影響もよく之に反應し,微々たる變化も自覺的に視力,色神,光神等の機能的變化として或は他覺的検査によつて詳しく觀察出來ることにょると言う。萩野(3)は環境條件の變化に伴う視機能の動搖を疲勞と言う概念の下に測定し,身體内外環境の變化は視器に於て鋭敏に現われることを認めた。
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