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乳樣蜂窠の再生に關する2・3の問題に就て
後藤 敏郞
1
1長崎醫科大學耳鼻咽喉科
pp.245-249
発行日 1948年12月1日
Published Date 1948/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200105
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乳樣突起手術によつて鑿除された骨腔も瘢痕樣結締織によつて充填されるものとは古くから一般に信ぜられ長い間疑ふものもなかつた.然し骨壁から生じた之等の結締織は何れは完全に吸收せられた含氣蜂窠によつて置換されるものであることを私は曩の論文「蜂窠の再生に就て」に於て發表した(日本耳鼻咽喉科會々報49卷7號).
病理學の教ふる所によれば器械的に切除されたParenchymatöse Organ例へばLeber,Pankreas或はSpeicheldrüse等の一部はRegenerationを起すものとせられてゐるのであるから乳樣蜂窠が再生せられても理論的に不思議はないのであるが臨床的には注意されずにゐた.乳樣突起の再手術を經驗された多くの術者は蜂窠の如何に多くが殘存されてゐるかを經驗したことと思ふ.そして之等の蜂窠は前術者の殘したものであつて,中耳炎再炎の大きな誘因の一つとさへ考へ勝であつて術後の再生等云ふことは考慮されなかつた.蜂窠が再生されることは乳樣突起の手術と其の後療法にも影響を及ぼす樣になるものと思はれるので,其の後に得た症例に基いて蜂窠再生に關連した2・3の問題に就て論述してみたいと思う.
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