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乳嘴蜂窠鑿開創内撒布藥劑の体液移行に就て
柏戶 貞一
1
,
大石 力三郞
1
1横濱市立醫學專門學校耳鼻咽喉科學教室
pp.207-209
発行日 1948年11月1日
Published Date 1948/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200094
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古來乳嘴蜂窠鑿開創の後療法に當り、種々なる藥劑を創腔に適用する事は良く行はれて居るが、殊に近年化學療法の進歩に從ひ、之等藥物を直接創腔に使用する事は益々盛ならんとし、柏戸も嘗て本療法に於てスルフアミン劑を用ふる時は創腔經過を著しく良好ならしむる事を雜誌「治療」誌上(28卷8號)に報告した。而も此の事實は、米國醫學雜誌にも2・3同樣の文献が認められる事によつて益々確實とされ、更に進んで同方面に於ては創腔へ「ペニシリン」を注入し、創腔の一次的閉鎖を行はんとする報告まで見られるに至つて居る。依つて我々は、引續き創傷治療に當つては、創腔内に化學藥物撒布を實施しつつあつたが、斯くの如き場合撒布藥劑が如何なる轉機に依つて奏効するやに關しては、未だ充分なる實證を得る事を得なかつた。然るに之等療法を續行する中、本問題は比較的簡單に之を解明し得る事を知つた。即ち創傷面に對し、赤色プロントジール末を撒布する時は、本藥劑は間もなく尿中に排泄せられ、排泄せられた尿は該藥劑に依りて赤變し、のみならず、其の濃度は時間的經過と一定の關聯のある事を知つた。依つて我々は、斯くの如き場合の尿中排泄の模樣を創傷經過各期に就き又之が排泄の時間的關係、及び爾他注射療法との比較に就き聊精細なる觀察を試みて見た。然る所其の成績は次の如くであつた。
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