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迷路梅毒のマラリヤ療法
野本 耕一郞
1
1日本醫科大學耳鼻咽喉科教室
pp.204-207
発行日 1948年11月1日
Published Date 1948/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200093
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緒言
迷路梅毒に施さるべき眞の療法は勿論驅梅療法であり、サルバルサン、沃度劑、水銀劑、蒼鉛劑等が用ひられ、時にはSwift-Ellis法も用ひられる。又梅毒の直接の療法ではないが、所謂刺戟療法の範疇に屬すべき、種々の發熟療法、牛乳療法、又最近では動脈注射療法、其の他迷路機能の低下に對する意味からピロカルピン療法等が行はれてゐるが、從來の報告にも見る通り、機能檢査の上では多少の効果を認めてはゐても、自覺的に聽力の恢復を見た例は甚だ少い。然るに當教室で昭和21年、偶々入院した迷路梅毒の患者にマラリア療法を行つたところ、聾であつたのが大聲で話せば通ずるやうになつた。之に力を得、例數を重ねたいと思つてゐたがなかなか患者がなく、最近漸くその機會を得、又も良い結果を得た。西端教授の耳鼻咽喉科學各論に「迷論梅毒にマラリア療法が推奬されてゐる」とあるが、本邦に於ては之を實施した文献を殆ど見受けない。故に僅か2例ではあるが、茲に報告する次第である。
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