論説
稀有なる鼻橋部瘻孔の一例
武田 博文
1
1金澤醫科大學耳鼻咽喉移學教室
pp.29-31
発行日 1948年4月1日
Published Date 1948/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200047
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緒言
我科領域に於て外鼻の先天性畸形としては從來鼻裂症,外鼻の部分的映損(鼻翼缺損及鼻中隔前部缺損),科鼻等が報告せられているが他部のものに比べると稀である。就中本症例のような鼻橋部瘻孔は甚だ稀有なるものゝ如く,本瘻孔が單獨に現れて他に先天性畸形が併存しないとき,又は何等の症候を伴はないときは,患者にはこれと云ふ苦痛がないので,患者が自ら診を乞ふことが少ないことも報告例のすくない一因をなすものと考へられるけれど,兎にも角にも私が蒐集した本邦文獻中には鼻部瘻孔に關する報告例を見ない,僅かに外國に於て數例の報告が見られるに過ぎない。私は最近斯樣な稀有なる1症例に接したので茲に報告し諸賢の參考に資し度い。
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