論説 西端教授開講十周年記念論文
硬腦膜内膿瘍の珍らしき一症例
中島 賢二郞
1
,
內藤 厚德
1
1慶應義塾大學醫學部耳鼻咽喉科教室
pp.122-127
発行日 1947年12月1日
Published Date 1947/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200027
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
(1)緒言
硬腦膜内膿瘍の注意せられるやうになつたのは比較的遲く初めて詳細な記載をしたのはMacewen(1893)Jansen(1895)等で,更に1900年代の初期になつてKörner,Heine,Alexander等に依つて知見が加へられた。
本症は中頭蓋腔に惹起せられるもので,其發生經路は皷室或は乳樣洞の多く慢性炎症(Blegvad)に依ると27例中2例のみ急性化膿性中耳炎に誘發され,殘りの26例は慢性化膿性中耳炎に依るものであり,内6例は眞珠腫であつたと)から硬腦膜に穿孔を生じて連續的に波及する場合と硬腦膜が穿孔する事なく脈管(血管或は淋巴管)に沿ふて傳染する場合と,更に極めて稀れな腦竇血栓よりする轉移性に反對側に成立する場合(Mygind,Rimini)とが擧げられる。
Copyright © 1947, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.