論説
ムコーズス菌中耳炎に對する通氣療法に就て
水野 秀一
1
1札幌鐵道病院耳鼻咽喉科
pp.94-96
発行日 1947年6月1日
Published Date 1947/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200024
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ムコーズス菌中耳炎は成人乳樣突起炎の重要な部分であり,特に北海道のそれの大部分であると言つても過言ではない。此の中耳炎は通常潜行的に始まり,苦痛の少ないものであるから醫治を求める時既に相當の日數を經たものが多く,此んな患者は普通成熟した乳樣突起炎を形成してゐるし,患者が發病當初から醫治を求めても,時には專門醫であつてさへも,通常の中耳炎或ひは外聽道炎として看過し,大病院の外來へ來た時は手術療法以外に手の打ち樣の無い事もある。
けれども大病院を一度出ると,發病後日尚ほ淺く,レントゲン及び臨牀的所見から觀血的療法に迫られない症例も相當にある。此の時期には患者も手術を承知せず,保存的療法を試みるが,間もなく乳樣突起炎や其他の合併症に依つて手術を餘儀なくされる樣になる(Protrahiert-progressive Form, Intervallform)。
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