Japanese
English
特集 泌尿器腫瘍(その2)
腎
消化器障害を初発症状とし,診断困難であつた腎腫瘍症例
A CASE OF RENAL TUMOR WITH A INITIAL SYMPTOM OF THE DISTURBANCE OF THE DIGESTIVE SYSTEM WHICH WAS DIFFICULT TO DIAGNOSE
久住 治男
1
,
宮城 徹三郎
1
,
岩佐 嘉郎
1
,
梅田 俊彦
2
,
松原 藤継
3
Haruo HISAZUMI
1
,
Tetsusaburo MIYAGI
1
,
Yoshiro IWASA
1
,
Toshihiko UMEDA
2
,
Hujitsugu MATSUBARA
3
1金沢大学医学部泌尿器科教室
2金沢大学医学部第二内科
3金沢大学医学部中検病理
1Department of Urology, School of Medicine, Kanazawa University
2Department of Internal Medicine, School of Medicine, Kanazawa University
3Central Clinical Laboratory, School of Medicine, Kanazawa University
pp.685-691
発行日 1966年6月25日
Published Date 1966/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491204404
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I.はじめに
泌尿器科領域において腎腫瘍症例をとりあつかう場合,泌尿器科的症状を具備しているものが主体となることが多い。すなわち腎腫瘍の3徴候のいずれかを主訴として来科するためである。しかしながら他科においては定型的腎腫瘍症状を示さないために診断の遅延ないし不能の場合も少なくない。筆者の1人梅田は最近経験したかかる腎腫瘍症例群の検討を行なつているが,内科,神経科などにおいて非泌尿器科的症状を主とする腎腫瘍症例に興味が持たれている。しかしわれわれ泌尿器科医にとつて,かかる非定型的症状を示す腎腫瘍についての知識はむしろ他科領域におけるよりも重要な問題であつて,最近,大越ら(1965)は腎腫瘍の全身症状について詳細な検討を行なつている。本症例は消化器障害を初発症状とし約1年にわたり十二指腸潰瘍として治療をうけ,その間に腹部腫瘤を触れるようになり,当科に紹介されたものである。しかしながら最近の進歩せる泌尿器科的検査の結果においてもなおかつ腎腫瘍診断の困難であつたものである。以下症例について報告し,いささか考察を加えてみたいと思う。
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