Japanese
English
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血尿のみを初発症状とし,腎腫瘍と誤られた腎結核の1例
RENAL TUBERCULOSIS: A CASE MISDIAGNOSED RENAL TUMOR BECAUSE OF RENAL HEMATURIA
渡辺 昌美
1
,
塩 暢夫
1
,
小津 堅輔
1
Masami WATANABE
1
,
Nobuo SHIO
1
,
Kensuke OZU
1
1東北大学医学部泌尿器科学教室
1Department of Urology, Tohoku University School of Medicine
pp.195-198
発行日 1966年2月1日
Published Date 1966/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491204295
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I.緒 言
腎結核はしばしば血尿をきたす疾患ではあるが,その大部分は腎結核に併発する膀胱結核に起因するいわゆる血膿尿であり,同時に頻尿や排尿痛などの膀胱症状を伴なうことが多い。しかしながら初期には,相当高度の血尿のみを主訴または初発症状とすることがあり,静脈性腎盂造影像,膀胱鏡検査などでもなんら結核性変化を証明することができず,特発性腎出血,腎腫瘍,あるいは腎盂乳嘴腫の疑いのもとに腎摘出術が施行され,摘出腎の組織学的検索によつてはじめて初期腎結核と診断される場合がある。
私どもも,約5カ月間にわたり肉眼的血尿のみを訴えていた患者に対し,腎腫瘍の疑いで腎摘出術を施行したが,組織学的検索の結果1腎杯領域にのみ病巣を認める腎結核と判明した興味ある1症例を経験したので報告する。
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