Japanese
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泌尿器科領域におけるエンピナースの使用経験
CLINICAL EXPERIENCE OF ENPINASE IN UROLOGY
王丸 鴻一
1
Kouichi OHMARU
1
1県立宮崎病院泌尿器科
1Department of Urology, Kenritsu Miyazaki Hospital
pp.269-272
発行日 1965年3月1日
Published Date 1965/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491204036
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I.はじめに
近年酵素化学の著るしい進歩から従来消化酵素として用いられるにすぎなかつた蛋白分解酵素も生化学的,薬理学的作用が究明せられると治療面においても新しい適応範囲が次々と追加され従来の酵素の考え方から飛躍した治療効果を示すことが明らかとなつて来た。すなわち本剤の強力な蛋白分解作用はフィブリンや凝血,血栓,膿汁やさらには病巣壊死組織を分解しその吸収排泄を促進するという。したがつて体内組織中に貯留した膿汁や凝血の除去に,気管支内にからまつた喀度の溶解除去に,病巣内に欝積した壊死組織の溶解清浄化,さらには組織の新生を助ける作用から創傷の治癒促進に,炎症部位の組織間隙や,リンパ管に集積したフィブリンや壊死組織を溶解して体液の流通を回復し炎症や浮腫の消退を助けるため抗炎症抗浮腫の目的で,さらにはまた毛細血管の透過性をたかめ特に病巣部への薬剤の到達,拡散を助長するので感染症に対して化学療法剤との併用にと多くの面に広く使用される様になつた。
強力な蛋白質分解作用を有するといわれるエンピナースは耳鼻科領域とくに蓄膿症に対してすでに優れた治療効果を示しているが,上記の薬理作用から考え当然泌尿器科領域においてもその効果が期待されるものと考えていたところ幸にも科研化学の厚意でエンピナースを使用する機会を与えられたのでその使用経験を報告する。
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