Japanese
English
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精液の線維素溶解酵素系—特に血精液症について・附イプシロンの治療効果
STUDIES ON FIBRINOLYTIC ACTIVITY IN HUMAN SEMEN: ESPECIALLY HEMOSPERMIA AND EFFECT OF IPSILON
久住 治男
1
,
福島 克治
1
Haruo HISAZUMI
1
,
Katuzi FUKUSIMA
1
1金沢大学医学部泌尿器科教室
1Department of Urology, School of Medicine, Kanazawa University
pp.1323-1330
発行日 1965年12月1日
Published Date 1965/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491204255
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I.はじめに
血精液症とは精液中に血液を混入する1症候を指すもので,Rapin (1859)以来本症の報告は多数にのぼるが,その病因については未だ定説がなく,従つて確然とした治療法も明らかにされていない。最近百瀬ら1)(1961),遠藤2)(1963)の本症に関する詳細な臨床的,実験的研究があり,それによれば本症は器質的血精液症と特発性血精液症とに大別され,後者の一部に精嚢アレルギーの関与することが確認され,抗アレルギー剤の有効性が認められたと報告されてかる。
精液の液化現象ならびにその意義についてはHuggins and Neal3)(1942)以来,主として妊孕現象との関連において論ぜられ,従つて精液の線維素溶解能(以下線溶能と略)は男子不妊症を対象として専ら研究され,内外において最近2,3の報告が見られるが,血精液症を対象とした研究は未だ見当らない。僅かにHuggins and Mc Donald4)(1945)が血精液症の観察において,精嚢由来の精液部分におけるfibrinolysinの測定を行ない,前立腺由来の部分よりも高値を示したことを記載し,精嚢分泌液中におけるfibrinolysinの存在を示唆する結果を報告しているのみである。
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