Japanese
English
--------------------
泌尿器科領域におけるダイシノン注射の止血効果
THE CLINICAL APPLICATION OF DICYNONE (INJ.) IN UROLOGY
佐藤 威
1,2
I. SATO
1,2
1久留米大学医学部泌尿器科学教室
2福岡県済生会八幡病院泌尿器科
1Department of Urology, School of Medicine Kurume University
pp.823-826
発行日 1964年8月1日
Published Date 1964/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203862
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はしがき
最近,泌尿器外科の進歩により,尿路及び性器に対して,種々の複雑な手術が行われる様になつてきたが,われわれ臨床医家として,これらの手術にたださわる際に最も頭を悩ますのは,術中,術後の出血である。例えば身近なものでも,腎切開術,腎部分切除術などしかり,又前立腺被膜下別出術などしかりで,術後の思いがけない甚だしい出血が,再手術の必要を余儀なくする様な事態を招くことさえある。これは,泌尿器外科において,これを余儀なくされる特有な事情がある訳で,というのは尿路に加えられた手術は,手術された部分が絶えず尿と接触する為に溶血を起し,血尿が止まらず,引いて尿路の大出血は膀胱凝血塊による尿の通過障宮を惹起し,尿閉迄も引き起す事態となる訳である。
又一方,尿路腫瘍,尿路結石,尿路結核などで非観血的治療を行ないつつある経過中や,出血性膀胱炎や潰瘍性膀胱炎などの一連の膀胱疾患でも,甚だしい出血を認める事があり,その止血もすこぶる困難であり,又特に所謂特発性腎出血は,その治療に関して泌尿器科医を最も悩ますものである。
Copyright © 1964, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.