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思いつくまま(30) 津軽のことば
舟生 富寿
pp.881
発行日 1963年9月1日
Published Date 1963/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203602
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津軽の言葉は東北ズーズー弁のうちで最も難解のようである。私は長く仙台で学生,医局生活を送つたため,今ではそれ程 訛りも指摘されないで済んでいるが,もともと生れは最も東北的と見られている山形県,新庄。その後数回移住はしたが,東北地方以外の地に居住したことはないので東北弁を解する耳には自信をもつていた。
弘前に赴任し私の自信はすつかり覆えつて了つた。病院関係の方や弘前市内の方々は標準語に近い言葉を使つてくれるので問題はないが,田舎の人々か私共の理解力などには一切おかまいなしに活々と情感豊かに苦痛を訴えてくるのには丙口した。見るに見かねて,土地出身の看護婦が傍からニコニコし乍ら通訳してくれる。
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