同人放談
思いつくままに
藤生 太郎
1
1山口県立医科大学産婦人科学教室
pp.165-166
発行日 1962年2月10日
Published Date 1962/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202579
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学生の講義をしていて気付くことは学生の語学力の不足である。学制改革前の医学部の学生は高校理科の甲類であれ乙類であれ英,独2ヵ国語の修得には随分力を注いだもので,大学の講義にはさほど不自由は感じなかつた。うちの大学での講義は英語を主として使うものと,独語を用いるものとがほぼ同数であるから,学生も専門課程の3〜4年になると英,独の普通使用する医語は大体わかる筈である。それがさつぱりわかつていないように思えてならない。
今の高校は大学進学希望者が圧倒的に多く,特に進学率の高い所謂名門校は予備校のようになり入学当初から補習,課外授業をやり生徒は自宅に帰つてからも勉強,勉強とおいかけられてろくに睡眼もとる暇がないようである。高校3ヵ年間は無我無中で勉強し語学の力も相当ついているが,大学の進学課程に入学するともう入学試験はなく6ヵ年たつとトコロテン式に押し出されるという安心感からか或は勉強にあけ暮れした3ヵ年の青春をとりもどそうとするためか徹底的に遊ぶようになる。それで専門課程にすすめないものも多数出てくる。
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