Japanese
English
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泌尿器科学的内視鏡操作時に於ける表面麻酔剤—特にエピロカインゼリー,エピロカイン液について
TOPICAL ANESTHETIC IN THE ENDOSCOPIC MANIPULATION OF THE UROLOGICAL SECTION
志田 圭三
1
,
武田 裕寿
1
,
横川 正之
1
Keizo SHIDA
1
,
Hirohisa TAKEDA
1
,
Masayuki YOKOKAWA
1
1東京医科歯科大学皮膚泌尿器科
1Dept.of Dermato. Urology, Tokyo Medical and Dental University
pp.47-51
発行日 1960年1月1日
Published Date 1960/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202741
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I.緒言
現代泌尿器科学の発達は内視鏡並にレ線診断法の発達に負う所が多い。泌尿器科臨床にあつては内視鏡操作は内科医に於ける聴診器の如きもので,殆んどすべての症例に於て,しかも頻回に施行されている。しかしながら内視鏡的操作は患者にとつては相当苦痛なものであり,時には苦痛のため充分なる内視鏡的操作が行われず,そのために診断をあやまる事さえみられている。患者に何等苦痛を与えず,容易に内視鏡操作が施行される事は泌尿器科全般の大きな願いである。
内視鏡的操作の疼痛を除く為に腰麻或は全麻の行われる事もあるが,日常検査手段のためにはこれ等の手段は患者の負担も大きく,かつ煩雑のきらいがある。ここに尿道或は膀胱に対する表面麻酔が要望される所以がある。表面麻酔剤としては古くからコカインが存し,その麻酔作用のすぐれている事は既に成書にみる通りである。しかしながら,コカイン自体は相当毒性がつよく,かつ麻薬としての習慣性があり,また,泌尿器科領域にあつてはきわめて多量使用しなければならぬ特殊事情からして,これを用うる事は不可能に近い。数年来,かかる要望をみたすものとしてLidocainが発見され,Xylocain,Jellyとして広く用いられている。内視鏡操作の実際に於てこれを使用してみると,表面酔力の点に於て,また,内視鏡自体に対する薬剤の障害が存する点に於て決して満足すべきものではなかつた。
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