Japanese
English
綜説
イレウス時に於けるアセチールコリンについて
On acetylcoline during ileus
代田 明郞
1
,
三樹 勝
1
,
守谷 林太郞
1
,
津端 求
1
,
大川 共一
1
Akiro SHIROTA
1
,
Masaru MIKI
1
,
Rintaro MORIYA
1
,
Motomu TSUBATA
1
,
Kyoichi OKAWA
1
1日本医科大学松倉外科教室
pp.341-357
発行日 1959年4月20日
Published Date 1959/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202367
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Ⅰ.緒言
松倉教授1)は第54回日本外科学会総会宿題「イレウス」に於てイレウス死因の有力なる一因子として松倉教授の謂うイレウス抗原を抗原とする自家抗原抗体反応によるアナフィラキシー・シヨックの発来性を臨床的並びに実験的に立証すると共に,更にイレウス時に於ける血中有効物質の本態は種々なる角度より検討した結果ヒスタミンに非ずしてアセチールコリンなることを確認され,かくしてイレウス時生体はアセチールコリンの過剰産生により甚だ重篤なる障碍を蒙り死に到るものと推察結論されたが,更に松倉教授2)3)は第55回及び56回日本外科学会総会に於てイレウス時の脳脊髄中枢神経系に於けるアセチールコリンの動き,脳下垂体後葉及び血中の抗利尿物質,副腎皮質ホルモンの動き等一連の臨床的並びに実験的研究成績からイレウス時アセチールコリンの血中への移行は肝機能の障碍,脳下垂体後葉より抗利尿物質の分泌亢進,剖腎皮質機能の障碍を招来し,この肝機能並びに副腎皮質機能の障碍は抗利尿物質の非活性化の低下を来たし,抗利尿物質の分泌亢進は水分電解質の体内分布異常を来たし原因は結果を生じ結果が再び原因となる悪循環が招来せられ,生体はその生理機構の攪乱に悩みつつ遂に死に到るものと推察結論されている.
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