Japanese
English
--------------------
皮膚科領域における新局所麻酔剤エピロカインの応用
USE OF A NEW LOCAL ANESTHETIC AGENT (EPIROCAIN) IN DERMATOLOGY
安西 喬
1
Takashi ANZAI
1
1東京大学皮膚科教室
1Dept. of Dermatology, School of Medicine, Univer. sity of Tokoyo.
pp.1091-1094
発行日 1958年10月1日
Published Date 1958/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202382
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
皮膚科領域に於ける観血手術としては各種の形成外科的手術,植皮術,腋臭症の腋窩皮膚切除,陰茎癌の陰茎切断術,淋巴腺摘出等を挙げることができる他,皮膚疾患の診断に皮膚片試験切除を行うのは日常のことに属する。然してこれ等手術に対し局所麻酔剤としては今までプロカインが多く使用されて来た。このものは周知のように1905年EinhornおよびUhlfelderによつて合成され,
(図省略)
なる構造式を有する。このものは毒性が低く,コカインの1/6〜1/8に過ぎず,比較的理想に近い局所麻酔剤とされてきたが,一方に於て麻酔作用発現が比較的遅く,伝達性に乏しく,表面麻酔力亦極めて弱く,特に時としてアレルギー現象の認められることがその欠点である。それでこれ等の欠点を解消して,麻酔効果発現を速かにし,効果持続時間を延長し,滲透力,麻酔作用を強めると共に,毒性を弱めようとして幾多の研究が重ねられ,先ずプロカインの側鎖に炭素数の多い高級体としてPanthesin(Ⅰ),Butacaine(Ⅱ),Tutocaine(Ⅲ),Larocaine(Ⅳ)が作られ,又アミノ基に於ける水素原子をアルキル基で置換したものにPantocaine(Ⅴ)がある。
Copyright © 1958, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.