Japanese
English
--------------------
ニコチン酸の2,3皮膚疾患に対する治療効果—並びに細動脈を中心とする皮膚疾患の機能病理学的考察
THE EFFECT OF NICOTINIC ACID UPON SOME DERMATOSES.
鳴海 淳郎
1
Junro NARUMI
1
1東京逓信病院皮膚科
1Department of Dermatology Tokyo Teishin Hospital Tokyo.
pp.815-820
発行日 1959年8月1日
Published Date 1959/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202616
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.まえがき
ニコチン酸及びニコチン酸アミドは1912年鈴木氏によつて粗「オリザニン」より始めて分離せられ,1937年Spies,Cooper,Blankenhorn1)がこれをペラグラの治療に応用して著効のあることを示し,ついで同年Beck,Ellinger & Spies2)は尿中のポルフイリン反応がニコチン酸及びニコチン酸アミド投与によつて陰転することを報告した。我が国に於いても平松,細田3)4)5)はペラグラ,光線皮膚炎,酒皶性痤瘡,紅斑性狼瘡の如き光線過敏性をしめす皮膚疾患に於いては一般に尿中ポルフイリンの異常増加が認められ,ニコチン酸投与によつてこれは正常化し,これと共に皮膚症状も軽快乃至治癒することを報告した。その後多くの報告が相ついでなされ,最近では野波6)の治験報告がある。
ニコチン酸は次の如き構造式を有し,トリプトフアンから,キヌレニン,3-OHアントラニール酸を経て生体内で作られ,OPN,TPNの重要な構成成分となり,生体内酸化還元系に作用する7)8)。ニコチン酸はニコチンと硝酸又は過マンガン酸カリとの酸化によつてもつくられるが,いずれも体内でアミド化されて正規のニコチン酸代謝系に入り,N1-メチルニコチナマイド,N1-メチル-3-カルボキシール-6-ピリドンとなり,メチル化して排泄される。
Copyright © 1959, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.