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海外トピツクス
pp.733-737
発行日 1959年7月1日
Published Date 1959/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202601
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7組の一卵性双生児の間に行われた腎移植
これまで無関係の人間の間で行われた腎移植は,おそらく腎供給者の細胞核抗原に対する受者の抗体反応の発生のために,種々なる期間移植腎が機能を営んだ後にすべて失敗に帰している。BostonのPeter Bent BrighamHospitalでも1945年以来23例の腎移植を経験しているが,無関係の人間の問での15例の内5例で移植腎は機能を営んだけれども,最も長いもので5ヵ月半働いたにすぎなかつた。ところが,1955年に一卵生児の間での腎移植の第1例を行つてからこれまでに7例を経験したが,その内6例で移植腎が機能を営み,最も長いもので3年半後の現在も健康で生存という好成績を得たので,Mur-ray,Merrill and Harrisonはその7例の腎移植の経験を報告している。
7例の内4例は慢性糸球体腎炎,1例は亜急性腎炎,2例は慢性腎盂炎を有したものである。彼らが挙げている腎移植の条件としては,腎供給者については,1.両腎とも機能が正常であること,2.尿路感染のないこと,3.下部尿路の正常なこと,及び4.腎を剔除されることの意義を十分に理解していること,であり,受者については,1.不可逆的な腎不全の末期にあること,2.下部尿路の正常であること,3.尿路感染はたとえあつても軽微であること,及び4.腎の原疾患が非活動性であること,などで,これらの条件が全部揃つていれば理想的である。
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