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海外トピツクス
pp.42-43
発行日 1952年1月1日
Published Date 1952/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200662
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皮膚科におけるバシトラシンの局所療法
バシトラシンBacitracinは,Johnron et al (1945)によつて報告された新抗生物質で,B.subtilisの1株より産生され,グラム陽性の連銀状球菌,葡萄状球菌,淋菌,肺炎菌,梅毒スピロヘータ,ジフテリア菌等に有力に作用する殺菌剤である。本剤の缺點はアレルギー性反應をおこし易いことである。Finnertyは83人の皮膚疾患(内75例は化膿性皮膚疾患,8例は二次感染症)に局所應用した。使用法は軟膏1.0gに對しバシトラシン500單位を含ませた軟膏か,水1.0ccに對し500單位含有の濕布剤にするかによつた。治療成績は治癒61.5%,著明輕快30.1%比較的改善6.0%である。これ等の患者は從來の治療法では殆んど反應を示さなかつたものであるだけに共の效果は著明であり治療日數を短縮ぜしめることが出來た。2例の毛嚢炎及び膿皮症は無效であつた。副作用としては豫期されたアレルギー性反應は僅かに2例に出現したが藥剤を中止して直ちに治癒した。工場で多數發生する二次感染を伴つた濕疹樣皮膚炎は從來その治療に困つたものであるが,本剤によれば極めて速かに治癒に向わせることが可能となつた。バシトラシンは現在の皮膚科領域に於ける最も效果のある殺菌剤の1つであると述べている。
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