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海外トピツクス
pp.318-320
発行日 1954年5月1日
Published Date 1954/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201210
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精虫の持つ抗酸性リポイドに就て
Berg (1954)は結核菌,レプラ菌の染色性が抗酸性であり,之等の菌に依つて各々の結節が作られる事から精虫侵襲症に依つて惹起される肉芽腫も亦精虫が抗酸性である事に何等か関係があるのではないかと精液が持つ化学的構成を調べ,更に之に就いて動物実験を行つた。この理論はmycobacteriaが持っmycolic acid,レプラ菌が持っleplosic acidに存在する或るヒドロキシ脂肪酸と精液のそれとが量的にも質的にも同じものではないかという観点に立つており,精液の持つリポイド分劃と肉芽様組織との反応に就て実験した。
即ち健康成人の精液0.5ccを採取し,之を数回0.85%食塩水で洗滌,遠心を繰返し,更にアセトン8ccで3回洗つて溶解性のリポイドを抽出し,同様操作を其後エーテル,純アルコールで行う。次に100%,95%,75%,アルコールを通して脱水し,更に核蛋白体を除去する為に1規定塩酸10cc中に入れ之を60℃で24時間保ち水で洗つた後再び同様の塩酸処理を行うと抗酸性物質が多くの他の物質と一緒に抽出される。次に之をペーパークロマトグラフイーにかけ蛋白質の有無を検査し,更に5%燐酸タングステン酸を滴下し蛋白質を完全に沈澱させる。再び塩酸で洗滌して,最後にクロロホルムで抽出すると,すべての抗酸性物質はこのクロロホルム層の中に移行する。
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