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海外トピツクス
pp.539
発行日 1957年6月1日
Published Date 1957/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201988
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皮膚科に於ける放射性同位元素
放射性物質の皮膚科に於ける医学的応用は1901年Bes-nierによる特定の皮膚疾患に対するRadiumの治療的使用に始まつた。次いて1913年Noegeli et Jesnerは或る種の皮膚疾患の治療にRadiumの放射性同位元素であるThorium Xを使用した。1924年Christansen,Hevesy et Lomholtは梅毒の治療に用いられる蒼鉛化合物の吸収,排泄,体内分布を動物体内で検索するため追跡子としてBismuthの放射性同位元素であるRadi-umを用いた。現在に於ては自然崩壊による不安定な同位元素に加えて,核反応子並にサイクロトンは非常に多種類の放射性同位元素を塵生しつゝある。そして其等の多くは種々の医学的応用に利用されつゝある。皮膚科医は皮膚疾患の診断並に治療に,更に研究にそれ等を使用しつゝある。しかし現在では放射性同位の皮膚科学に於ける診断的応用は極めて限られた範囲に止まつている。例えばGrupper,Fitzpatrick,Lerner等はin vitroで活性Tyrosinaseの存在の下でTyrosine-C14からMelanin-C14に転換することを証明した。彼等はこの実験が悪性黒色腫から良性母斑を区別する上に価値があるかもしれないと考えた。
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