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海外トピツクス
pp.367-369
発行日 1957年4月1日
Published Date 1957/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201944
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結核性膀胱炎に続発した萎縮膀胱の治療に屡々Ileo-cystoplastieが応用される。最近Cibert et al.(1956)は本手術の60例に及ぶ経験を発表した。彼等は最初屡々排尿痛や失禁を伴う頻尿を緩和し,出来れば膀胱尿管逆流現象により拡張をした上部尿路を障碍から守るという二重の目的でこの手術を行つたのであるが,手術後の遠隔成績をみると水腎症からの恢復が予想以上に良好であつたので,彼等はIleocystoplastieの適応を更に拡げた。即ち,結核膀胱炎の続発症のうちで,たとえ膀胱容量の減少が左程顕著でなくとも,膀胱尿管逆流視象の認められる場合には腎機能障碍の漸進するのを防ぐという意味で,硬化した膀胱排尿筋を切除して,小腸環を膀胱に吻合するのである。このような適応症に対して9例に試み,良好な成績を収めた。
この遠隔成績は極めて興味深い点が多い。種々の訴えをもつた患者に手術を施行するわけであるが,これらのうち排尿痛及び尿失禁に対しては甚だ満足すべき成績を収めている。他方,頻尿についてみると昼間3時間に1回,夜間1回の排尿回数という程度のものは僅か1例に過ぎないが,大多数のものでは昼間2乃至3時間に1回,夜間2乃至3回の成績が得られた。腎機能に対する影響も同様に極めて良好である。術前膀胱尿管逆流現象のため水腎症に陥つていた37例中27例に上部尿路の拡張が減つた。
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