--------------------
末端硬化症(Sellei)の1例および本症の綜合的考察
岸清 一
1
1日本医科大学皮膚科教室
pp.1015-1021
発行日 1956年12月1日
Published Date 1956/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201840
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
手指硬皮症あるいは鞏皮指Sklerodaktilieは汎発性鞏皮症の初発症状として発病することが多く樋口教授1)によれば本邦の汎発性鞏皮症256例のうち83例に鞏皮指の合併を認めている。従来鞏皮指は汎発性鞏皮症の一亜型あるいはその先駆症に過ぎないとする見解が持たれていた。しかし病変は終始手指に限局し汎発型に移行しないものがあり,Sellei2)(1931)はこの型のものを汎発性鞏皮症より分離独立させて,これを末端硬化症Akro-skleroseと命名した。これはBinkley3)(1937),O'Leary-Waisman4)(1943),Littler-Canter5)(1951)等多くの人々に支持された。今日この末端硬化症の特徴として大体次の如く規定されている。1)病変部位が手,指,足,趾の他,身体の突出部である鼻尖,耳朶等に常に厳格に対側性に生ずる。2)皮膚の変化は硬結ではなく栄養障碍の結果として皮膚が短縮,皺縮(verkürzt,geschru-mpft)し,肢端皮膚において筋線維と癒着して生ずる所謂skleröser Zustandを呈する。3)病因的に中枢性の血管運動神経症である。4)組織像において汎発性鞏皮症の真皮結合織の増殖とは異なり,結合織はむしろ減少する。
Copyright © 1956, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.