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特集 皮膚泌尿器科領域の腫瘍
後腹膜腔腫瘍及び副腎腫瘍
Retroperitoneal Tumors and Adrenal Tumors
落合 京一郎
1
1東京大学
pp.943-955
発行日 1956年12月1日
Published Date 1956/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201829
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後腹膜腔(retroperitoneal space)とは横隔膜を上限,骨盤横隔膜(pelvic diaphragm)を下隈とし,前面は腹膜(正確にいうと肝の裸出部,結腸及び直腸の一部,十二指腸の一部で界されている部分もある),後面は躯幹筋で囲まれた体腔のことである。この体腔は実際に腔を形成している部分(actual space)と,正常でははつきりした腔をつくつていない部分(potential space)に区別される。Actual spaceには膵,十二指腸,腎,尿管(腎盂),大動静脈などをいれており,potentialspaceには脂肪,繊細な筋東,血管(大静動脈以外),神経,結合組織などが存在するわけである。従つてこれらの臓器器官や組織から発生した腫瘍はすべて後腹膜腔腫瘍(retroperitoneal tumor)というわけであるが,一般にはその全部を後腹膜腔腫瘍とはいわない。たゞしもつとはつきりした後腹膜腔腫瘍の定義については,人によつて現在でも一致しているわけではない。例えば1955年のA.M.A.Archives of Surgeryの後腹膜腔腫瘍のシンポジウムでは腎腫瘍をもこのなかにいれている。Engel (1955)は後腹膜腔腫瘍を(i)後腹膜腔に存在する器官からの腫瘍,(ii)これらの器官とは関連のない原発性腫瘍,(iii)後腹膜腔リンパ腺の原発性乃至転移性腫瘍という3つを区別している。
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