特集 皮膚泌尿器科領域の腫瘍
尿管腫瘍について
大村 順一
1
,
前田 尚久
1
,
鳥越 漸
1
1岡山大学
pp.956-962
発行日 1956年12月1日
Published Date 1956/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201830
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尿管腫瘍については,その頻度が少い故もあるが,腎あるいは膀胱腫瘍に比し,関心をひかれる所が少いきらいがある。しかしながら,その解剖学的位置からしても,又悪性度からしても腎,膀胱腫瘍に劣るものでなく,腫瘍自体に基く障碍と共に腫瘍による尿の流通障碍による腎に対する影響は,生命に対する危険を孕んでいる。このことは,悪性腫瘍において特に強調さるべきであるが,後者については,良性腫瘍についても同様である。
尿管腫瘍については,既に諸教が述べているように,良性腫瘍に関しては1861年LebertのPo-lypoid Fibrom,悪性腫瘍については1878年Wi-sing及びBlixの原発性尿管癌の報告が嚆矢とされている。本邦においては,1920年高橋の乳頭腫1)が最初であり,悪性腫瘍では1935年伊藤2)の基底細胞癌が第1例である。爾来,今日までに40例をかぞえるが,その文献的考察或いは頻度については,最早種々述べられているので省略し,本邦報告例40例を整理すると共に,吾々が最近経験した症例について,しばらく考察を加えてみたいと思う。
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