特集 皮膚泌尿器科領域の腫瘍
腎腫瘍
高井 修道
1
1札幌医科大学
pp.937-942
発行日 1956年12月1日
Published Date 1956/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201828
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緒言
腎腫瘍は泌尿器科領域の腫瘍としては比較的屡屡見られるものゝ一つであるが,臨床症状の発現が遅くその主要症状たる血尿,腎臓部の腫瘤を発見した時には既に病巣は腎被膜より周囲に波及していて手術の困難なことがあり,従つて術前に手術可能な限界を決定することが大切である。又仮令手術可能な場合でも静脈内への腫瘍細胞の栓塞を見ることが多く手術の際に余程用心しないと術後に血行性播種を起す危険がある。又腎腫瘍中最も屡々見られるGrawitz腫瘍とWilms腫瘍に於て後者が放射線感受性が極めて高く(radiosen-sitive)手術前後の照射療法が有効であるのに反し前者は放射線抵抗性(radioresistant)の腫瘍で術後の照射療法が全く無効である。
以上の点が腎腫瘍に於て特に注目す可き処であるが以下各項目に亘つて概説しやう。
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