Japanese
English
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腎腫瘍の根治的腎剔除術
RADICAL NEPHRECTOMY IN KIDNEY TUMOR
高井 修道
1
Shudo TAKAI
1
1札幌医科大学皮膚科泌尿器科
1Department of Urology and Dermatology, Sapporo Medical College
pp.383-388
発行日 1963年4月1日
Published Date 1963/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203493
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I.緒言
腎腫瘍,特に腎実質の腫瘍は自覚症状の発現がおそく,初発症状である血尿,腫瘤の現れるころにはpathologically lateである,つまり腫瘍は腎周囲組織内,腎静脈壁,腎門部淋巴腺へ浸潤している。また腎臓は元来血液循環の極めて多い臓器である。これらのことをよく頭の中にいれて腎実質腫瘍の治療の際に次の2つのことを注意しなければならない。まず腎剔除の際には腎臓を腎筋膜(Renal fascia,Gerota)に包んだ状態で根治的に剔除すること,次に腎茎血管に到達するまで腎臓に手術的操作を加えない,いいかえるとまず第一に腎動静脈を結紮切断し,しかる後に腎臓を周囲から剥離することである。
私は過去6年4カ月間に36例の腎実質腫瘍を経験し,このうち34例に根治的腎剔除術を行ない。その24例においては腎茎血管に最初に到達する胸腹膜腔的到達(thoraco-abdominal route)あるいは経腹膜腔的兼後腹膜的到達(trans et retrope-ritoneal route)で行なつた。他の10例は比較的初期の症例,あるいは術前診断が困難な症例で通常の腰部斜切開法(Iumbar oblique incision)で行なつた(第1表)。これら2群について各種臨床的,病理学的検索ならびに予後を比較検討してみた。
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