Japanese
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特集 老人の皮膚泌尿器疾患
腎腫瘍
NEOPLASM OF THE KIDENEY
赤坂 裕
1
Hiroshi AKASAKA
1
1昭和医科大学泌尿器科
1Department of Urology, Showa Medical College
pp.1414-1422
発行日 1958年12月20日
Published Date 1958/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202439
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腎腫癌は泌尿器科領域で取扱う重要な老人性疾患の1つである。この内に病理組織学的には良性,悪性の区別を行うことは可能であるが,良性とされるものの大部分は病理解剖検査の際に偶然発見され,少くとも臨床的に何等かの症状を出現するものは,全て悪性と考えて差し支えない。この腎腫瘍と称されているものの内には,その腫瘍の組織発生学的理由,及び存在位置によつて,腎実質腫瘍,腎盂腫瘍,腎被膜腫瘍の3つがあるが,腎実質腫瘍が最も多く約80%を占め,腎盂腫瘍は10%程度で,腎被膜腫瘍は甚だ稀にしか見ることは出来ない。岩崎によれば1954年迄に本邦例僅かに8例に過ぎない。腎腫瘍は何れも殆んど大部分原発性のもので,極めて稀に転移性のものを見ることはあるが,臨床的にはあまり意味のないものである。是等腫瘍は,発育増大の速度が遅く,その初期には患者に苦痛を伴うこと稀で,臨床症状を発現することも甚だ少い。従つて医師を訪れる時は,既に病期の相当に進行した後で,診断は比較的容易であるが,治療法に飛躍的進歩の尚見出せぬ現在では予後不良の場合が多く,種々なる難問を残している疾患と云わねばならない。
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