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耳鼻咽喉科に於けるアレルギー性乃至アレルギー様疾患に対する強力ミノフアーゲンCの治療効果ことに抗生物質との併用効果に就いて
斎藤 寛
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1東京医科大学耳鼻咽喉科
pp.207-211
発行日 1956年3月20日
Published Date 1956/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201527
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従来,耳鼻咽喉科領域に於てアレルギー性疾患として取扱われていたものには血管運動神経性鼻炎(或は鼻アレルギー)外耳道や耳介のアレルギー性湿疹,或る種の鼻茸,篩骨洞炎或は国内炎等が挙げられるが此等の多くは皮膚及び粘膜の急性の而も可逆性の性格を有つ病変であり謂はゞ体液アレルギーのカテゴリーに属するもので比較的よく研究され解明もされているアレルギーである。然るに近年に至りアレルギー学は長足の発展をとげ実験アレルギーの研究も亦進み之と同時に一方に於ては各種の化学療法剤,抗アレルギー剤学にも優秀なものが出現するに及んで治療学的方面からも従来主として感染症乃至は化膿症としての立場から考察されていた疾患のあるものや或は原因不明の為症候名を以て呼ばれていた疾患のいくつかゞ多分にアレルギー性又はアレルギー様の性格を含んでいることが次第に解つて来た。
慢性副鼻洞炎(カタル性から所謂蓄膿症を含めて)の或るものに於てもその成因や慢性化過程の中にアレルギーと言う概念が導入せられ,その本態の解明と治療上此の考え方が漸やく盛んに応用される様になりつゝあるのは一つの好い例である。同様のことは慢性中耳炎についても言い得ることである。
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