--------------------
各種皮膚疾患に対するBiotin(Vitamin H)の臨床応用に就いて
佐渡 博
1
1京都大学医学部皮膚科教室
pp.815-826
発行日 1956年11月1日
Published Date 1956/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201813
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.まえがき
皮膚疾患のうち,特にビタミン代謝に深い関連を有するものは,従来の研究報告により可成り多数にのぼつている。事実或種皮膚疾患に対するビタミン剤の応用が,顕著な効果をもたらす事を先人並に私も度々報告している。例えば,広義の角化性病変に対するV.AやV.Dの応用,湿疹,皮膚炎様疾患群に対するV.B群やV.C,又リボフラビン欠乏症で代表される皮膚病変に対するVB2,更に脂漏性病変や痤瘡に対するV.A,V.B2,VB6など,或はまた出血性乃至血管起因性皮膚病変や色素沈着症に対するV.C,V.E,V.Kなどの応用は,茲に申し述べるまでもなく皮膚科医の1つの常識とすらなつている。
之等の医学常識は,各種ビタミンの薬理作用の究明やビタミンの欠乏実験による観察などがあつかつて力があり,言い換えるならば,ビタミンの基礎的研究からビタミンの臨床的応用にまで,非常に急連に発展した為である。
Copyright © 1956, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.