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神経性難聴に対するVitamin Aの効果
沖山 正明
1
1小倉鉄道診療所耳鼻咽喉科
pp.217-218
発行日 1956年3月20日
Published Date 1956/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201530
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Ⅰ.緒言
騒音環境従業員に見られる聴力障碍,即ち神経性難聴は,所謂職業病の一つとして,最近種々の意味に於いて重要視される様になつて来た。特に近代重工業の発達は,騒音環境に就労する労働人口の増加を伴い,本症の研究も種々の方向から進められ,従つてこの治療に関しても諸先輩の業績も少くない。即ちVitamin B1大量投与療法,頸部交感神経節X線照射療法,同ラヂウム療法,脳脊髄液パンピング療法,等々がそれである。しかし乍ら神経性難聴の如く,既にコルチ氏器の一部に組織学的変化を伴つた疾患は,従来の医学的常識を以てしては既に不可逆的に近いもので,難治な疾患の一つに数えられて居り,決定的な治療効果を挙げる療法は現在無い状態である。
私は最近エーザイ株式会社の協力に依りVitamin A(Chocola A水性5万単位)の提供を受け,神経性難聴に応用する機会を得たので,短期間の観察で未だ充分な遠隔成績を得て居ないが,その効果を発表し御批判を仰ぎ度いと思う。
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