--------------------
Monobenzyl ether of hydroquinoneⅠによる各種皮膚色素沈着症の治療
川村 太郎
1
,
西原 勝雄
1
,
上出 二郎
1
,
河崎屋 三郎
1
,
桜井 仁吉
1
,
寺田 稔
2
,
中島 啓雄
2
1金沢大学医学部皮膚科泌尿器科教室
2富山市民病院
pp.635-640
発行日 1956年9月1日
Published Date 1956/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201768
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
I.緒言
色素沈著症の治療は仲々困難であり,殊に後天的発生を来す肝斑並びに外傷・炎症後の色素沈著などに於いてさえ,その治療法は何れも隔靴掻痒の感が深い。元来本症の治療手段には幾つかの異つた方途がある。例えばメラニン生成過程を阻碍することは1つの大きな手段であり,色々と研究されてはいるが良い方法を見出し得ない儘であつた。此の方途にに立つて,著者等1)は先きに女子顔面黒皮症に対してBALを使用し,見るべき効果を挙げ得た事がある。所が最近Denton,Lerner及びFitzpatrick2)はmonobenzyl ether of hydroquinone(以下HMEと略記)なる強力なメラニン形成阻止剤を使用して各種色素沈著症の治療を試み,従来にない良い成績を挙げ,動物実験並びに試験管内実験をも併せ行つてそのメラニン生成阻止機転を明らかにした。即ち,HMEの作用機序に就いてはoliver,Schwartz及びWarren3)はチロヂンからメラニンの生成される中間過程への阻止作用と云つているが,前記Denton等2)並びにLerner汲びFitzpatrick4)によれば本剤自身には阻止作用がなく,皮膚にに吸収されたHMEがハイドロキノンに変化し,之がチロヂン→ドーパの過程を抑制するのであろうと説いている。
Copyright © 1956, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.