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皮膚色素沈著症に対するHydroquinon monobenzyl etherの効果に就いて—特に濃度並に副作用の問題に就いて
佐渡 博
1
1京都大学医学部皮膚科教室
pp.557-561
発行日 1956年8月1日
Published Date 1956/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201749
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I.まえがき
皮膚色素沈著症は種々の原因により発生するがその発生機序,特に色素形成の解釈に就ては未だ多くの問題を残している。その為もあつて治療対策は容易でない。以前より外用剤として各種の剥離膏やキニーネやレゾルシンを含む膏剤が用いられ,注射及び内服剤として亜砒酸剤,V. C,副腎皮質ホルモン,DOCAなども使用され,外科的にはサンドペーパー法などが応用されていた。之等の治療によつて或程度の成績が得られるものとはいえ原因的治療には程遠いものである。最近Hydroquinonmonobenzyl etherがこの方面の治療に屡々治用されている。このものも上述の域を出ないかも知れないが少しくHydroquinon monobenzyl ether(H. M. Eと略す)に就てのべてみよう。
Oliver,Schwarz & Warren1)によつて報告された職業性白斑は酸化防止剤に用いられたH. M. E.の作用によることが判明し,H. M. E.は皮膚色素形成機序のうちチロヂナーゼの作用を抑制するものと考えられるにいたつた。H. M. E.の治験はその後多く見られ,我国に於ても片岡,幹2)がその効果の可成り著しいことを報告し,大森3),権藤4),籏野5),奥野6)等が相次いで,H. M. E.の他剤に比してより効果のあることを強調した。
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