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皮膚の色素沈着症に対するMonobenzylether of hydroquinoneの効果
馬場 正次
1
,
児玉 正道
1大阪大学皮膚科泌尿器科学教室
pp.239-242
発行日 1956年4月1日
Published Date 1956/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201663
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緒言
肝斑,雀卵斑,女子顔面黒皮症等を始めとする種々の色素沈着症の治療として,従来水銀化合物やビタミンC,副腎皮質ホルモン等が使用されて来た。しかし水銀剤は局所の皮膚炎を起しやすく,又アレルギー反応が屡々起ること等,好しからぬ多くの副作用を有し,又ビタミンCや副腎皮質ホルモンも効果が不定で満足すべぎ結果は得られなかつた。
処が1939年Oliver,Schwartz,Warren等はゴムの酸化防止剤たるAgerite albaを含むゴム手袋を使用する黒人労働者に皮膚の色素脱失を見たことを報じ,これはAgerite albaに含まれているmonobenzylether of hydroquinone(以下H. M. E.と略)が色素脱失作用を有することが確認された。爾来多くの人々によりparahydroxyphenolの誘導体であるparahydroxypropiophenone,H. M. M.,及びhydroquinoneが,構造式に於て非常な類似性を示している如く哺乳動物に於て等しくメラニン形成を抑制するという報告がなされ,更にDenton等によりその色素脱失機転の解明が企てられると共に各種色素沈着症に対し治療的に応用することが試みられparahydroxypropiophenoneは動物実験に於ても臨床実験に於ても局所作用を有せず一度吸牧された後杢身皮膚に一様に働くことがわかつた。
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