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皮泌科領域に於ける血管強化剤の意義特にAdrenochromの臨床的応用
荒川 忠良
1
,
佐藤 美正
1
,
多田 弘
1
1徳島大学医学部皮膚科泌尿器科教室
pp.351-357
発行日 1956年6月1日
Published Date 1956/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201694
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まえがき
荒川等(1951)はさきにRutinを各種皮膚疾患に応用して急性滲出性皮疹に有効であり,その作,用機転は皮膚血量の減少作用血管透過性の減弱,紫外線感受性の弱化にあることを実験し,Cholinacetylase作用の阻害を想像した。勿論Rutinの血管強化作用については教室の横関氏の実験報告がある。氏の系統的研究により,皮膚毛細血管抵抗の増強は皮膚血液量の減少(金子氏),紫外線感受性の低下(石井氏),皮膚温復元時間の短縮(斎藤氏)と平行関係にあることが実証されている。これら一連の皮膚機能が皮膚素因と密接に関連することは教室の業績の示す所であるから(荒川,1952)血管強化剤が皮膚疾患の準備性,疾患の発生並びに経過に重大な影響を及ぼすことは当然といわねばならない。
Adrenalinの酸化産物であるAdrenochinon→Adrenochrom(Derourux Roskam 1937)の薬理作用として①全身性並に局所性の毛細管透過性の低減と血管の補強作用,②Fibrinogen-Thrombin系を介する凝固時間の短縮(迅速で潜伏期間なし)③血圧,呼吸に対する無影響(交感神経の刺戟作用なし。稀に腎上体に作用し少量のAdrenalinを遊離させることはある)
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