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所謂特発性腎出血の治験例
永田 正夫
1
,
徳田 安之助
1
,
高村 武次
1
1日本大学医学部泌尿器科教室
pp.359-362
発行日 1956年6月1日
Published Date 1956/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201695
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緒言
最近に於ける臨床各科のアレルギーに対する研究は甚々活溌なるものがあり,多数の業績が発表されている。泌尿器科領域に於ても,内外諸家によりアレルギー性疾患の検討が行われている。平滑筋と粘膜からなる泌尿生殖器系臓器がアレルギー性反応に対応することも当然であろうし,また呼吸器,消化器又は皮膚のように一般にアレルゲンと直接接触することは少ないかも知れないが,泌尿生殖器系のアレルギーの問題に就いて,もつと注意深くあつてよいと考える。
現在の進歩した泌尿器科的診断技術を動員しても,なお且つ原因不明なる腎出血に対しては所謂特発性腎出血なる名称が附せられているが,高安氏等も血尿を起す尿路アレルギーの際に一側腎だけからの出血のあり得ることを指摘し,文献的にRhodes, Nation等の症例を記載し,所謂特発性腎出血の病因の一つとして,アレルギー性腎性血尿を考慮に入れるべきことを注意している。
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