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皮泌科領域に於ける低周直角脈波の臨床と実験
金子 保夫
1
1徳島大学医学部皮膚科学泌尿器科学教室
pp.446-452
発行日 1956年7月1日
Published Date 1956/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201721
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雷気治療の臨床的応用は18世紀中葉以降であり,主に麻痺の治療に用いられた。以来各種の治療法が案出され,使用されたが,その治療効果は必ずしも一定していなかつた。これら電気治療の理論的根拠はPflüger13)(1859)の電気緊張の知見に基ずくものであり,電気緊張下に於て,陽極では閾値が上昇し,陰極下では下降するとの理念である。所がその後通流作用は各方面から研究され,通流電極附近の生理学的性質の変化は決して恒常的なものでなく,陰極では,通流時間の経過と共に,下降した閾値が上昇することが既に1883年Werigo18)により実験的に証明された。一方強い或は長い直流通電時の陽極及び陰極附近に於ては和反する物理的変化の起ることがEbbecke20)(1922)により抵坑の面から,又Beche6)(1920)により神経分極像から証明されている。斯の如く両極下に於ては相反する変化が生ずることは明らかであるがWerigoの所謂抑圧的陰極作用に対する陽極作用はみられなかつた。しかし1936年杉氏16)は筋へ60分にわたる通雷の結果,両極共電気緊張に相当する変化から反方向への変化の移行を証明した。この事はその後山中氏19)(1940)により筋及び神経で,坂本氏14)(1944)により神経で,又木村氏12)(1950)により筋の小数線維束で証明したのである。
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