皮膚科図譜・61・62
壞疽性丘疹状結核疹/皮膚組織球腫
水野 信行
1
1東大皮膚科
pp.349-350
発行日 1956年6月1日
Published Date 1956/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201693
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27歳,未婚女子。3年来顏面に痤瘡様発疹を生じ,次第に躯幹へ波及,2週間来外陰にも生じた。現症。顏面から躯幹へかけ,粟粒乃至碗豆大,半球状又は毛嚢一致性,円錐状の丘疹が散在する。紅色乃至褐紅色。一部中心に膿疱を有するものあり,破壊して壊疽状となり,結痂するもの,更に瘢痕状をなせるものもあり,これら新旧疹は互に混在している(第1図)他,同様発疹の少数は四肢にも見られる。又陰阜,大小陰唇から会陰へかけ超碗豆大,半球状結節が数カ散在し,小陰唇では一部潰瘍化しているが,縁下潜蝕せず,底面清潔である(第2図)。ツベルクリン反応陽性,血沈1時間値70,胸部レ線所見上異状なし。ヒドラヂツド,ピラヂナマイドを併用内服して著効あり。背部丘疹を組織検査するに,毛嚢周囲結合織の一部壊死し,又類上皮細胞増殖して少数ラングハンス氏巨細胞これに加はつている。この類上皮細胸増殖を囲んで大小の円形,淋巴球様細胞浸潤している。毛孔拡大し,角栓のこれを充填するのを見る(第3,4図)。部位的に四肢に稀,顏面に多数生ぜる点,又外陰に生じ潰瘍化せる点に異色ある表記症とする。
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