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Cortrophine,Cortrophine Zによる皮膚疾患の治療に就いて
小堀 辰治
1
,
平出 聰
1
,
姉小路 公久
1
,
鳴海 淳郎
1
,
石嶋 徳太郎
1
,
太田 逸郎
1
1東京逓信病院皮膚科
pp.260-268
発行日 1956年5月1日
Published Date 1956/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201669
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1.Cortrophine,Cortrophine Zについて
1949年Hench et al1)がACTHをはじめて臨床に導入して以来,ACTHによる臨床成績が多数報告せられると共に,一方に於て此藥剤の使用法についても,製剤の面に於ても種々の改良が加えられ,ACTH療法も目ざましい進歩をとげた。
最初に使用されたACTHは1942年Li, Simpsonet Evans2),並にSayers, White et Long3)の研究により分離抽出されたもので,粉末状をなし生理的食塩水或は蒸溜水を以て溶解稀釈して使用する。この水溶液は室温に於ては効力は低減するが,氷室では或る程度防止出来る。使用法としては筋注を主とし,6〜8時間々隔で投与し,或は5%ブドー糖液500〜1000ccに溶解して8〜10時間点滴注入する。しかし上記の粗製ACTHと呼ばれているものは注射組織に固定され,不活性化される。Adams et Smith4)によれば,粗製ACTHその中に蛋白質分解酵素を含み,之がACTHに破壊的に作用すると言う。又異種蛋白としての有害作用も考慮されなければならない。従つて改良の第一はACTHの精製化に向けられた。その主なものに(i) Li等の方法と(ii) Payne, Astwoodet Raben5)の方法がある。
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