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冬眠麻醉剤ウインタミンの皮膚科的応用
小堀 辰治
1
,
姉小路 公久
1
,
鳴海 淳郎
1
1東京逓信病院皮膚科
pp.45-50
発行日 1956年1月1日
Published Date 1956/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201597
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I.まえがき
フランスのRhône-Poulencで4560 R. P. として得られたPhenothiazine誘導体Largactilは,Laborit等によつて所謂冬眠麻酔として用いられたが,この藥剤はアメリカでは一般にChlorpromazineと呼ばれ,ドイツではMegaphen,我国では塩野義製藥からWinterminとして市販されるに至つた。このものの構造式は第1表に示す通りである。Winterminは非常に多面的な作用を有し,現在迄に知られている作用を一括すると第2表の如くなる。即ち自律神経末梢,特に交感神経に対して強い抗アドレナリン作用を有し,中枢的には鎮静,鎮痙,催眠,制吐作用等を示すので,外科領域に於ける冬眠麻酔のほかに,精神科に於いてはPharmakologische Lobotomieといわれる程,重要な役割を演じ,其の他内科,小児科,産婦人科領域で各種の疾患に応用されている。
皮膚科領域では既にフランスでChapuis etKlepping(1952),Vachon(1954),Laugier(1955)が汎発性湿疹,Prurigo Besnier等に使用し,我国でも帯状疱疹,蕁麻疹,湿疹等に使用した報告があるが,未だその報告に乏しい様である。吾々は本剤を広汎な皮膚症状を呈する数種疾患に応用し,本剤の皮膚疾患に対する応用性,2,3皮膚反応に及ぼす影響を検したのでその成績を報告する。
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