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海外トピツクス
pp.159-160
発行日 1956年3月1日
Published Date 1956/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201643
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膀胱を利用した腹水処理法
腹水はいろいろな圧迫症状をおこして不愉快なものであるが,この処理法には適切な方法がない。D.Mulvany(1955)は腹水をカテーテルによつて膀胱に導き,尿道より排除する方法を考案し,癌性腹膜炎,肝硬変症,急性黄色肝萎縮の11例に試みてかなりの効果をあげている。即ち,先ず患者を手術台上に寝せ,過渡の圧迫を除くために腹腔穿刺を行ったのち,大体の場合は下腹部正中切開で腹腔を開く。この時は膀胱を拡張しておいて膀胱部にまで切開をのばす。次いで腹膜を切開して診断を確めた後腹水を全部排除する。そしてNeoplex型の22F.G.の長いplastic whistle-tip catheterを腹腔に入れ,前腹壁の腹膜に固定して右側腹部の方に通す。このカテーテルは小腸の脱出を予防するためにうまく位置させなければならない。腹腔内にあるカテーテルには2乃至3ケの側孔を作って腹水の流出をよくする。次に膀胱頂部に癒着している腹膜の最下端に小さい穴をあけ,更にこれに最も近い膀胱頂部に小切開を加えて,カテーテルの下端を膀胱内に挿入する。この際にもカテーテルの閉塞を防ぐために,膀胱内のカテーテルはあまり長くせず,側方にも穴をあけておく。このカテールを膀胱に固定して,腹膜を閉ぢ,膀胱を腹直筋鞘に固定したのち,手術創は完全に閉鎖する。術後10日間は経尿道的に膀胱にカテーテルを留置する。
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