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エリスロマイシンによる梅毒治験例
高村 武次
1
,
藤井 正見
1
1日大医学部性病科
pp.142-145
発行日 1956年3月1日
Published Date 1956/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201641
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緒言
アイロタイシンによる駆梅の臨床的効果に関しては,近年次の如き報告を散見する。即ちHuri-ez1),Alexander2),藤井3),楠本4),新5),平田6),山本8)等で,Huriezは1例の初期硬結を,Alex-anderは初期硬結1例及び難治性梅毒6例,平田,新は6例の神経血管梅毒を,藤井は乳児先天梅毒2例,山本は各期梅毒21例に就いて報じ,何れも可成りの治癒効果を得たと報告しているが,決定的な効果は出ていない様である。
使用量は大体1日成人0.6瓦乃至1.2瓦,総量12瓦乃至70瓦を投与している。経過観察は国外では血清反応の外T.P.I.Testを行つているものもあるが,国内ではWa氏反応,村田氏反応,ガラス板法,等によつて観察し,山本は之等の外ザツクス氏反応を行い抗体稀釈法によつて追求している。これらの観察期間は長くも1年未満である。我々は潜伏梅毒7例の中抗療性と思われる4例,未治療3例,抗療性と思われる先天梅毒2例,脳梅毒1例,計10例に就きアイロタイシンを投与した。治療前後の血清反応は緒方氏定性法,ガラス板法,緒方氏定量法を行い,治療中は1ヵ月2回治療後は毎月1回検査した。使用量は1日量1000mgとし,総量20g乃至38.8g投与したが,先天梅毒は潜伏梅毒の各1例のみに使用量を1日300mgとし,総量10g投与し経過を観察した。
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